
幻想的な夜景ポートレートや、光の軌跡が美しく写り込んだポートレート、あるいは動きの少ない被写体を長時間露光で撮影した作品…そんな写真に憧れる方も多いのではないでしょうか。
長時間露光ポートレート撮影は、独特の雰囲気を演出できる魅力的な撮影手法です。
しかし、適切な機材と技術的な知識がなければ、期待通りの結果を得ることは難しいといえます。
今回は、長時間露光ポートレート撮影に必要な機材から、具体的な手順、そして撮影のコツまでを解説します。
目次
長時間露光ポートレート撮影に必要な機材

三脚は必須アイテム
長時間露光撮影では、数秒から数十秒、場合によっては数分間の露光を行います。
そのため、カメラのブレを防ぐために三脚は絶対に必要なのです。
しっかりとした安定性を持つ、頑丈な三脚を選びましょう。
地面が不安定な場所では、三脚の足先にスパイクを取り付けるのも有効です。
また、風の影響を受けにくい場所を選ぶことも重要です。
さらに、三脚の高さ調整も、構図を決めやすいよう、柔軟に行えるものを選びましょう。
雲台はボールヘッドタイプがおすすめです。
スムーズな角度調整が可能で、長時間露光撮影においては非常に便利といえるでしょう。
レリーズでカメラブレを防ぐ
シャッターボタンを押す際の人間のわずかな動きでも、長時間露光撮影ではブレの原因となります。
そのため、レリーズ(リモートシャッター)の使用が強く推奨されます。
レリーズを使用することで、シャッターボタンを押す際に発生する振動を完全に排除できます。
特に、長時間露光では、わずかなブレでも写真に大きく影響します。
したがって、レリーズは必須といえるでしょう。
有線タイプと無線タイプがありますが、長時間露光撮影では、誤作動のリスクが少ない有線タイプが安心です。
さらに、レリーズを使うことで、構図を固定したままシャッターを切ることができるので、安定した撮影が可能になります。
NDフィルターで光量を調整する
長時間露光を行うには、明るい日中であっても十分なシャッタースピードを確保する必要があります。
NDフィルターは、レンズに入る光量を減らすフィルターです。
これにより、日中の明るい状況下でも長時間露光を可能にします。
NDフィルターには、減光率が異なる様々な種類があります。
撮影状況に合わせて適切な減光率のNDフィルターを選び、露出を調整しましょう。
例えば、ND1000などの高減光率のフィルターを使用すれば、日中でも数秒から数十秒の露光が可能になります。
また、NDフィルターを使用することで、水の流れを滑らかに表現したり、人混みを消したりするなど、様々な効果を得ることができます。
長時間露光ポートレート撮影の手順とコツ

ポートレート撮影に最適な絞り値を選択する
長時間露光ポートレートでは、絞り値によって表現が大きく変わります。
例えば、被写体の背景をぼかしたり、シャープに描写したりすることができます。
一般的には、F2.8~F5.6程度の絞り値が、被写体を際立たせつつ、背景を程よくぼかすのに適しています。
しかし、被写体との距離や背景の状況によって最適な絞り値は異なります。
そのため、実際に撮影しながら、絞り値を変えて試行錯誤し、自分にとって最適な設定を見つけることが大切です。
被写体の表情や、背景の雰囲気など、トータルで考えて絞り値を決定しましょう。
さらに、絞り値を調整することで、被写界深度をコントロールし、写真の印象を大きく変えることも可能です。
長時間露光ポートレート撮影のシャッタースピードを設定する
シャッタースピードは、長時間露光ポートレート撮影において最も重要な要素の1つです。
シャッタースピードを長くすることで、光の軌跡を表現したり、幻想的な雰囲気を作り出したりできます。
ただし、シャッタースピードを長くしすぎると、被写体がブレてしまう可能性があります。
そこで、被写体の動きや、光の状況などを考慮し、適切なシャッタースピードを設定する必要があります。
例えば、夜景を背景にしたポートレート撮影では、数秒から数十秒の露光が必要になるでしょう。
一方、動きの少ない被写体であれば、より短い露光時間で撮影できます。
また、シャッタースピードを変えることで、写真の明るさも調整できます。
ISO感度を調整してノイズを軽減する
長時間露光では、低ISO感度を使用することが重要です。
ISO感度を高くすると、ノイズが増加し、画像の質が低下してしまうからです。
可能な限り低いISO感度(例えばISO100やISO200)で撮影し、ノイズを最小限に抑えましょう。
ただし、光量が不足している場合は、適度にISO感度を上げる必要があるかもしれません。
その際は、ノイズ低減機能を活用することで、ノイズの影響を軽減できます。
近年はカメラの高感度性能も向上しており、ある程度のISO感度であればノイズを気にせず撮影できる場合もあります。
被写体の動きを制御する
長時間露光ポートレート撮影では、被写体の動きがブレの原因となります。
そのため、被写体には、静止してポーズをとってもらうか、あるいはゆっくりとした動きをしてもらうように指示しましょう。
被写体の動きを制御することで、よりシャープで美しいポートレートを撮影できます。
特に、風の影響を受けやすい場所では、被写体にしっかりと固定してもらう、あるいは風の影響を受けにくい場所を選ぶなど、工夫が必要です。
また、被写体とのコミュニケーションを密にすることで、より自然で魅力的な表情を引き出すことができます。
まとめ
今回は、長時間露光ポートレート撮影に必要な機材、具体的な手順、そして撮影のコツについて解説しました。
美しい長時間露光ポートレートを撮影するには、適切な機材選びと、絞り値、シャッタースピード、ISO感度などの設定を正確に行うことが重要です。
また、被写体の動きを制御することも重要になります。
これらの知識を活かし、幻想的な世界観を表現する、あなただけの長時間露光ポートレート作品を創り出してください。
そして、様々な撮影条件を試すことで、さらに表現の幅を広げることができるでしょう。
当社は、お客様のブランドイメージと商品の魅力を最大限に引き出すビジュアル制作を専門としています。
長時間露光のような特殊な撮影はもちろん、企画から撮影、モデル・ヘアメイクの手配まで、ワンストップで対応できるのが強みです。
ECサイトに最適な画像データの制作・納品まで、トータルでサポートします。
撮影の目的に応じて最適なプランをご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。