
ストロボとカラーフィルターを組み合わせることで、写真表現の可能性は大きく広がります。
単に被写体を明るくするだけでなく、光の色を自在に操り、狙った雰囲気を演出できるからです。
特に、ホワイトバランス調整と連携させることで、さらに高度な色の制御が可能になります。
今回は、カラーフィルターとストロボ、そしてホワイトバランス調整を効果的に組み合わせるテクニックをご紹介します。
目次
カラーフィルターとストロボ撮影

カラーフィルターの種類と選び方
カラーフィルターは、ストロボなどの光源に装着して光の色の調整を行うものです。
素材はプラスチック製とフィルムタイプがあり、プラスチック製は丈夫で長持ちする一方、ストロボの種類に合わせたサイズを選ぶ必要があります。
フィルムタイプは汎用性が高く、持ち運びにも便利ですが、折りジワが付きやすく、経年劣化で色が薄くなる可能性があります。
色合いは、赤、青、緑といった基本色から、オレンジ、イエロー、マゼンタなど多様なバリエーションがあります。
撮影の目的や雰囲気に合わせて、適切な色と種類を選びましょう。
例えば、暖色系の雰囲気を出したいならオレンジやイエロー、クールな印象にしたいなら青や緑が効果的です。
カラーフィルターの装着方法
カラーフィルターの装着方法は、使用するストロボの種類によって異なります。
プラスチック製のカラーフィルターは、ストロボの発光部に直接装着するタイプが一般的です。
一方で、フィルムタイプは、ゴムバンドやクリップ、テープなどを用いて固定します。
クリップオンストロボの場合は、ゴムバンドでストロボに固定してからフィルムを装着すると、破損を防ぎやすくなります。
モノブロックストロボの場合は、クリップやテープでリフレクターに固定します。
バーンドアを使用する場合は、専用のカラーフィルターが用意されている場合もあります。
ストロボを使ったライティングテクニック
ストロボを使ったライティングは、被写体への光の当て方によって、大きく印象が変わります。
1:1灯ライティング
被写体への光の角度や距離を調整することで、影の濃さや光の広がりをコントロールできます。
2:2灯ライティング
それぞれのストロボの位置や色、光量を調整することで、より複雑で奥行きのあるライティングが可能です。
背景へのストロボ照射では、被写体とは別に背景を照らすことで、背景の色や雰囲気をコントロールできます。
1灯ライティングの効果と応用
1灯ライティングは、シンプルながらも効果的なライティングです。
被写体正面から光を当てることで、明るく自然な仕上がりになります。
光を斜めから当てることで、影を強調し、立体感を出すことも可能です。
また、光源と被写体の距離を調整することで、光の広がりをコントロールできます。
近距離では光が集中し、遠距離では光が拡散します。
カラーフィルターと組み合わせることで、被写体に色を付けるだけでなく、影の色まで変化させることができます。
2灯ライティングによる表現の幅
2灯ライティングでは、メインライトと補助ライトの役割分担を明確にすることで、より繊細な表現が可能です。
例えば、メインライトで被写体を明るく照らし、補助ライトで背景を照らすことで、被写体を際立たせることができます。
また、メインライトと補助ライトに異なる色のカラーフィルターを使用することで、よりドラマチックな表現も可能です。
それぞれのストロボの光量を調整することで、光のバランスをコントロールし、様々な雰囲気を作り出せます。
背景へのストロボ照射テクニック
背景へのストロボ照射は、背景の色や雰囲気をコントロールする上で非常に有効なテクニックです。
被写体に光が当たらないように注意しながら、背景にストロボを当て、カラーフィルターを使って背景の色を変化させます。
複数灯を使用することで、より複雑な背景の演出も可能です。
背景の色と被写体の色のバランスを考慮し、全体的な調和を意識することが重要です。
被写体が暗くなりすぎないように、レフ板や補助光などを活用するのも有効です。
ホワイトバランス調整と色の制御

ホワイトバランスの基本と種類
ホワイトバランスとは、カメラが光の色の違いを補正し、自然な色で撮影できるようにする機能です。
自動設定に加え、太陽光、曇天、電球など様々なプリセットが用意されています。
状況に合わせて適切なホワイトバランスを選択することで、より正確な色再現が可能です。
また、色温度を数値で直接設定することもできます。
ホワイトバランスとカラーフィルターの連携
ホワイトバランスとカラーフィルターは、密接に関連しています。
カラーフィルターを使用すると、撮影した画像の色が変化します。
この変化をホワイトバランスで補正することで、被写体の本来の色を再現したり、逆に意図的に色味を変化させたりすることができます。
例えば、オレンジフィルターを使用し、ホワイトバランスを調整することで、夕焼けのような暖色系の雰囲気を出すことができます。
シーンに応じたホワイトバランス設定
シーンに応じたホワイトバランス設定は、写真の色の正確な再現に非常に重要です。
例えば、太陽光の下では「晴天」、曇りの日には「曇天」といったプリセットを使用します。
室内で撮影する場合は、照明の種類に合わせて「電球」や「蛍光灯」などのプリセットを選択する必要があります。
状況に合わせて適切なホワイトバランス設定を行うことで、より自然でリアルな写真が撮影できます。
色温度の調整による効果的な表現
色温度は、光の色の暖かさや冷たさを表す指標です。
色温度を調整することで、写真全体の雰囲気を大きく変化させることができます。
低い色温度では暖色系の、高い色温度では寒色系の雰囲気になります。
この色温度調整をカラーフィルターと組み合わせることで、より複雑で繊細な色の表現が可能になります。
RAW現像でのホワイトバランス調整
RAW形式で撮影することで、後からホワイトバランスを調整できます。
RAW現像ソフトを使用すれば、より細やかな調整が可能です。
撮影時のホワイトバランス設定に失敗した場合でも、RAW現像で修正することで、理想の色味に近づけることができます。
まとめ
今回は、カラーフィルターとストロボ、ホワイトバランス調整を組み合わせた高度な撮影テクニックを解説しました。
カラーフィルターの種類と装着方法、様々なライティングパターン、そしてホワイトバランス調整との連携による色の制御方法を理解することで、写真表現の幅は大きく広がります。
これらのテクニックを習得し、創造性を発揮して、美しい写真表現を追求してみてください。
実践を通して、より深い理解と技術の向上を目指しましょう。
撮影環境や被写体の特性を理解し、柔軟にこれらのテクニックを使い分けることが、成功への鍵となります。
ぜひ、様々な組み合わせを試行錯誤して、自身の表現方法を見つけてください。